熊野季節物語り・杉の立ち皮剥:3

熊野市 平成15年8月28日(木)撮影
一番上
ハギ棒

一番上の皮を剥げる高さまでたどり着き、最後の切れ目を皮剥包丁で入れていきます。

そして「ハギ棒」を使い真ん中に入れた切り目から左側にハギ棒の先を徐々にさし込みながら、かわを剥ぎ始めて行きます。尾中さんの帽子の前の方が濡れて濃い色になっているのは、皮を剥ぐ時帽子の頭で、剥がれた杉の皮を押していくためです。

剥いだ杉皮
下まで降りてきた尾中さん

剥いだ杉皮は、回転させながら地面に落とします。これはまっすぐに落とすと、せっかく1枚できれいに剥がれた杉皮が割れてしまいます。それを防ぐために、回転させ空気抵抗を沢山受けるように落として行きます。

杉皮を剥ぐ作業を繰り返して、下まで降りてきた尾中さんです。上から皮を剥がないと、写真のように杉が「さるすべり」の木のようになってしまうからです。

杉皮
作業を終えた林

剥ぎ落とした「杉皮」です。水分を吸っているのでけっこう重いです。現在では建築資材としての引き合いも多いそうです。
確かに美しい自然の素材として価値がありそうです。

作業を終えた林です。皮を剥いだ木は、この後切り倒してしまいますが、あらかじめ間伐する木を選んでいます。
こんな風景を見ることが出来るのも、熊野市では五郷町の尾中さんの山だけでしょう。

【一口メモ】1本の木から10枚の杉皮を剥ぐ作業時間は、約40〜50分ぐらいです。途中に枝があると切り取らなければならないので、その作業が入ると少し時間がかかります。

皮剥の作業:2