食料は、人間の生命の維持に欠くことのできないものであるだけでなく、健康で充実した生活の基礎として重要なものであり、食料の安全性と安定供給を確保することは地域社会の安定及び県民の安心と健康の維持を図るうえで不可欠のものです。 近年では、安価で外観の良い野菜や果物など(生産物)を求める消費者ニーズに応えるための、化学肥料や農薬を必要以上に使用した農法や、食料の遠距離輸送に伴うエネルギー資源の浪費・大気汚染などが、地球環境に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。
 一方で阪神大震災の時には、水道・電気・電話というライフラインの安定性の確保とともに、近隣に食料供給地が存在していることの重要性が再確認されました。消費者の身近なところで、安全に配慮してつくられた食べ物を確保していくことは、地域社会に生活する者にとってかけがえのないものとなっています。また、本当に健康的な生活は、安全で安心な食べ物を食することだけでなく、健康的な環境の中で生活できてこそ得ることができます。
 農林水産業は安全で安心な農林水産物を安定的に供給するほか、その生産活動を通して自然環境を守り、休養や癒しの場となり、歴史や文化を伝承するなど、さまざまな機能を担っています。こうした多面的な機能を持つ農林水産業を支えていくこともわたしたちの果たすべき課題のひとつです。
 環境問題や資源循環型社会への取り組みが求められている今こそ、消費者も生産者も流通業者もみんながいっしょになって食と農林水産と環境について考え、行動を起こすときがきているのではないでしょうか。
 地域で生産されるものを地域で消費する、地域で消費するものはできるかぎり地域で生産するという「地産地消」は、地域でのヒト、モノ、情報の交流と経済循環を促す側面を持っています。
 わたしたちはこのような考え方のもとに「地産地消」を進めることで、紀南地域をより豊かで安全な暮らしのできる生活圏として創造し、情報発信していくことを目指します。

      平成13年9月3日
                  地産地消ネットワークみえ・熊野
                          発起人代表 高見 守


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