平成17年9月9日(金)講師に河野和義氏をお招きし「地元学から見る地域おこしと食育運動」と題した講演会がおこなわれました。この日は平日の午後にも関わらず、約35名が参加がありました。 河野和義氏は岩手県陸前高田で文化4年(1807年)から醸造業を営む老舗「八木澤商店」の社長で、1989年からは毎年全国各地の有名太鼓を招待しておこなわれる「全国太鼓フェスティバル」を開催する実行委員会会長(1999年まで)を努めるなど地域づくり、地域活性化に取り組んでいる方です。 独特の口調と情熱を振り絞って語るような河野氏は今回の講演で『食を考える上で「地元」「本物」「やさしい」「プラス思考」という4つの大事なことがあることから話始めました。 「食」と言う字は「人」に「良」と書かれるように、化学肥料や農薬、保存料などを使いすぎることは本来の姿ではありません。やさしい人が食べる物を作れば「体に良くないものは作らない」と語り、八木澤商店でつくられている漬物にするきゅうりも、できるだけ農薬などを使わず、自然生態系にさからわないで生産していることを紹介しました。 きゅうりの生産は難しいのですが、手間をおしまず生産することで自信(プラス思考)を持ち続け、つくったものは、料理人や食べていただいた方にも大変良い評価を得ているそうです。 醤油づくりにおいても、昔から行われている本来の作り方、地元の素材を使う事にこだわっています。 またそうして生産されたものを食べる時に、感謝する言葉「いただきます」と言う意味を子供さんに伝えていますか?食べ物にはすべて命があったこと、お米ひと粒・ひと粒でも大切にする事が大事なことですと食育の大切さをお話くださいました。 河野氏が1989年から民間主導の企画運営にあたってこられ、10年間実行委員会会長を務めた「全国太鼓フェステバル」を通じたお話しでは、「参加者、スタッフが協力しあい、良い人間関係が築かれました。そうしたことが地域のファンを増やすことに繋がっていくものだと思っています。人間関係、優しさを大事にし、熊野のファンを増やしていって下さい。」と話されました 講演会場には八木澤商店の素朴ですが本物の「漬物」や、地元熊野の自然の中で育てられている「岩清水豚」のソーセージ、みかんジュースやジャム、たかな漬けなど、よけいな添加物や科学調味料などを使っていない食品の試食コーナーがありました。こちらも本物味で、大変美味しいとの評判の声が多く聞かれました。 講演の終わりに「会場のみなさんの聞き上手につられて、いつもより長い講演になりました。」と河野氏が語られたように、時間を忘れてお話に聞き入った素敵な2時間半でした。 主催:紀南健康長寿推進協議会 共催:紀南県民局農政商工部/熊野市農業研究会/熊野どいらいファーマーズ 文章は、紀南健康長寿推進協議会のHPより抜粋
生家は文化4年(1807年)から醸造業を営む老舗「八木澤商店」。立教大学法学部卒業後、家業の味噌・醤油醸造業に従事。1984年、陸前高田青年会議所理事長。在任中に「大学合宿誘致運動」を展開し、1986年から「陸前高田ふるさと味の会」会長として、新方式のふるさと便を始め、地場産品の販路拡大に努め、第3セクター「陸前高田地域振興株式会社」の設立に努力した。1986年から開催している「三陸気仙サイクルロードレース」の事務局・運営委員長を努め、また1989年からは、毎年、全国各地の有名太鼓を招待しての「全国太鼓フェスティバル」を開催する実行委員会会長(1999年まで)を努めるなど、地域づくり、地域活性化に取り組んでいる。現在は、全国太鼓フェスティバル実行委員会顧問。 なお、「八木澤商店」の主力商品である「こいくちしょうゆ」特級・本醸造は、2003年3月、(財)日本醤油研究所主催の第30回全国醤油品評会(農水省後援)で、最高賞の農林水産大臣賞を受賞。