- 運営委員の市川さんが優秀賞!
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地元新聞記事

東海ブロック4Hクラブ連絡協議会、三重県農村青少年クラブ同、全国農村青少年教育振興会主催の東海ブロック農村青少年会議で、運営委員の市川茂昭さんが見事優秀賞を取りました。
次は全国大会に東海代表として出場します。

下は、その時の内容です、
是非ご一読ください。



平成15年1月23日(木)
吉野熊野新聞掲載(左写真)

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 紀州地区農村青少年わらしべ会の市川です。

 私の住む御浜町では農業が基幹産業であり、後継者の減少はかなりの確率で若者人口の減少につながります。今はまだ、年輩の方々が頑張っておられますが、産地としての将来やムラでの生活に不安を感じずにはいられません。

 当然このような危機感を訴える声は現場でも上がっています。しかし話してみると「子供が親のあとを継がない」ということや「耕し手のいない農地が荒れていく」ことを、「後継者の減少」と混同している人が少なくありません。

 後継者の減少は単純に言えば足し算引き算です。農業からの流出が必ず存在する以上、流入がなければ、農家の数が減っていくのは当然のことです。減らさない必要があるかどうかは今はおくとして、流入を確保するのであればいくつかの方法が考えられます。例えば、UターンIターンの促進、定年帰農者の受け入れ、農業経営体の会社組織化などですが、そのなかで私は、自分と同じような境遇の人々、つまり都市の非農家のIターンについて語りたいと思います。

 農家の出身でない者が農業を始めるには、たくさんのハードルがあります。ざっとあげますと、技術の習得、農地の確保、施設・機械の入手、それらを準備するための資金。また、多くの場合、都市生活しか知らない者が農村社会の一員となるわけで、環境の一変する世界での生活は想像以上のストレスをともないます。

 しかし、むしろここで問題にしたいのは、それらの困難を解決してでもなお、農家になろうとする意志決定の場のことです。なぜならば先ほどあげたようなことは、最終的には本人のやる気で解決すべきもので、強固な意志さえあれば道は開けると考えるからです。それに就農希望者が行政の援助を声高にさけぶことは、自立した農家への道を放棄することにつながるのではないか、と私は思います。

 では意志決定の場での問題にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは二つの問題を提示したいと思います。

 まず第一に、農業の現場を知ることの問題です。私達の世代の都市住民は、3Kとかいう前に、農業自体を知りません。今それらの人達が農業にどの程度の知識を持っているか、その一端はインターネットの掲示板等を見ていただければ分かると思いますが、はっきり言って無茶苦茶です。

 ですから、単に農業技術を教わる場でもなければ、田舎ぐらしを体験する場でもない、いわば「農業世界」とでもいうべきものを体験する場が必要であると思います。それは必ずしも、施設ということではありません。また、今の仕事を続けながらできる、ということも重要です。なぜならこの段階ではまだ農家になる意志を固めていないわけで、いつでも引き返せることが必要だからです。

 第二に価値観の問題です。農家になるということは、食い扶持を何にするかという問題だけでなく、人生をどう生きるかという決定を迫られることにつながります。脱サラ農家の場合、おおよそは現在の収入が減ることを覚悟して参入するわけで、今より儲かると思って来る人は少ないでしょう。では何を求めて参入してくるか、それはカネ以外のものであるはずです。

 それに対して実際の農業の現場では、いかに収入を増やすかが最大の課題になっています。農業で食って行かなければならない以上、当然のことだと思います。しかしこの認識の違いで話が噛み合わなくなり、その後の議論の齟齬が生まれます。

 これらは人と人との対話の問題でもあり、一律に解決できることではありません。ただ、大切なことは、単に農業者人口の増加を願うのではなく、農業を好きな人が農業をできるようにしていくことだと思います。農業にひろく関心を持ってもらい、裾野を広げ、その中からプロの農家が育って行くという社会です。農家の子弟も含め、農業が好きで農業をしている、そういう人達が増えてこそ、農業農村の活気は蘇ってくるものと思います。

 そしてそのために自分に何ができるか。まず第一に今回の就農を成功させ、幸せに生きる姿を見てもらうこと。第二に広告塔となって農業を宣伝すること。第三にIターン希望者の相談にのることです。

 まだ私は第一段階の入り口に立ったばかりです。これからもたくさんの困難があると思いますが、農業を選んで良かったと言える人生を過ごせるよう、ひとつひとつ克服していきたいと思います。

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